濱島 奈々子

№3364 おすすめの本⑥

こんにちは。

大阪事務所の濱島です。

すっかり朝晩は寒くなり、季節が変わったのを感じます。

今年は家にいた期間が長かったので、こんなにも時間がたったという事実に愕然としています。
今年ものこり3ヵ月……後悔のないように過ごしたいものです。

 

さて、今回もおすすめの本をご紹介します。

 

池澤夏樹 『砂浜に坐り込んだ船』 講談社

 

この本は8編の短編からなっています。

どれも根底にあるのは大切な人との死別です。

家族であったり友人であったり故郷であったり、どの短編にでてくる人物も別れを経験しています。
そして対話だったり、一緒にオペラをみたり、ピザを焼いたりとといった体験を経て、p少しだけなにかが変わるというものです。

そのなにかを得ることは、とても困難なのかもしれません。

私は幸いにもまだ親しい人と死別したことはありません。
それゆえに別れを想像するとその悲しみに大きさに立ちすくんでしまいます。

しかし時間のながれは平等で誰も逆らうことはできません。

だからこそ、今の時間を大切にして大切な人にはありがとうを伝えなければと思いました。
個人的にこの本の装丁がとても好きです。

 

次回はこっそりリクエストをいただいたので、

村上春樹の作品を紹介しようかと思います。

 

 

№3336 おすすめの本⑤

こんにちは。

大阪事務所の濱島です。

 

毎日とても暑くてすっかりどろどろの液体になっています。

私は避暑地の出身なので、関西の湿気の濃い暑さには何年たっても慣れることができません。

金魚鉢の中にいる金魚の気分です。酸素が薄いんですね、湿気で。

思わずパクパクしてしまいます。
 

今回も本を紹介したいと思います。

ポール・オースター 『最後の物たちの国で』 白水Uブックス 

 

その国では昨日あったものが今日消える、そんな現象が毎日起きます。

例えばマッチだったり飛行機だったり、道そのものやエリアが次々と消えていきます。それに付随する人々の記憶でさえ消えていきます。

 

兄を探すためにこの街に来たアンナは帰ることもできず、生き抜くために必死です。

道端には死体が転がり、それを焼くエネルギーセンターは毎日煙を吐きつづけます。
人々は死ぬ方法を考え、全速力で走って死のうとする人、飛び降りる人、安楽死クリニックに入院する人と様々です。

政治も機能せず、社会は混とんとし、終着へ向かう国で過ごす日々をアンナは手紙にしたためてこちらに語ります。

 

はじめてこの本を読んだのは随分と前ですが、街の風景、イザベルとアンナが生活した薄暗いレンガ造りの部屋、天井が傾斜し細工窓がある図書館の一室、どの情景もイメージとして鮮烈に残りました。

あれこの情景どの映画で見たっけ?と考えるとこの本の情景だったということが私には何度もありました。

終わっていく世界でも人は生きていて、誰かを見送ったり少し寄り添ってなにかを諦めたりします。

そこにいる人々は終焉を見届けるために生活しているのかもしれません。

 

ディストピア感満載の本ですが、日本の小説にはない味わいがあり、文字数のわりに読みやすいです。
個人的にこの本の紙質がとても好きです。


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№3315 おすすめの本④

大阪事務所の
濱島です。


旅行に行きたいけれど状況を見るとなかなか行っていいものか
決心もつかなくて暗澹たる日々を送っています。

図書館や大型本屋さんも再開して喜んでいたのですが、
また閉鎖されなことを祈るばかりです。

最近読んだ中でもっとも痛快だった本をご紹介します。
(シリーズ化できてちょっとうれしいです)1


藤野可織 「ピエタとトランジ」 講談社

この作品は数年前に刊行された「おはなしして子ちゃん」に掲載された短編の続編になります。

女子高生であるピエタのクラスにある日トランジという女の子が転校してきます。
トランジは天才的な頭脳の持ち主で、彼女の周りではその頭脳の代償であるかのように誰かは誰かを殺し、誰かは殺されていきます。

それはもう卒業するまでに学年の半数が殺し殺されたという驚きの事態です。

トランジの助手として一緒に事件解決にかかわるピエタ。

二人が大学生になり、年をとるまでの長い期間が断片的に描かれています。

女性が年をとるっていいじゃん、と思えた本でした。

年をとっても行ける場所はたくさんあって、できることもたくさんあって、若いころにはない魅力が増し自分の人生を自分で決断していける。
やるせないことがあっても誰かがいてくれるからやっていけるものなのかもしれません。

そういう女性を描いた作品はあまりないと思いました。

長編として刊行された本ですが、巻末に最初に書かれた短編が収録されています。そちらは最初に読んでも最後に読んでもどちらも違う味わいがあります。

全体的にあっさりとした雰囲気があるので、鬱屈とした今にはぴったりなのかもしれません。

№3289 おすすめの本③

こんにちは。
大阪事務所の濱島です。

新しい生活様式という新しい言葉をよく見かけるようになり、
変わってしまった日常にも次第に慣れ始めた今日この頃です。
先日、知人と話しているときに、
「当たり前が定着した頃合にその当たり前を根底から覆すような変化が
起きることはよくあり、変化が落ち着いた頃に文化は盛り上がる」
という言葉を聞きました。
きっと文化も経済も盛り上がるタイミングがくると思うので、
せめて今できるこの先の自分のためになるなにかを始めなければと考えています。

1今回もおすすめの本をご紹介します。
(シリーズ化していこうとひそかに目論んでいます)


フアン・ガブリエル・バスケス「物が落ちる音」松籟社

南米の作家の小説です。
世界文学の現在の中心地は日本でもアメリカでもなく、実は南米だったりします。
ノーベル文学賞に選出されている作家も南米出身の作家が多く、
隆盛の中心地ともいえる地域出身の作家です。
近代史とも現代史ともいえる出来事はあまり語られることがすくなく、
限られていますが語られないことには理由があり、
その理由について考えるきっかけにもなります。
やはり当たり前が崩された経験をもつ地域だから勢いがある作家が多いのかもしれません。

この作品は全体的にじっとりと重苦しく独特の湿度がまとわりつきます。
ジャングルにいるようなじめっとした湿気です。
それゆえに読みにくさはありますが、日本に生きていたら感じられない変革の情熱を感じることができます。
麻薬戦争と飛行機事故。
キーワードはこの二つであり、
はびこる暴力であり人生が強制的に変わっていかざるをえない人々がどう生きていくのかが描かれています。

小さな出版社から出されており、なかなか入手しにくい本ですが、
村上春樹がお好みの方にはおすすめです。

個人的に翻訳小説や海外ドラマを見ていると、人物が悪いことをしてもなかなか謝らず、
「仕方がないんだ」
というようなことを言ってやりすごしたり、
関係を修復したりすることがとても気になります。笑
ありがとうとごめんなさいは素直に言える人間でありたいですね。笑

№3265 おすすめの一冊②

こんにちは。

大阪事務所の濱島です。
気が付いたら連休も終わり、気温も着々と夏へ近づいていて
驚いています。

自宅で仕事をしているときはなるべく窓を開けて、
空の変化や明るさの具合で時間を把握するようにしていますが、
それにしても時間がたつのは早いですね…。

前回、本の紹介をさせていただいたので、
今回も引き続き本の紹介をします。

伊藤計劃『ハーモニー』(ハヤカワ文庫)

伊藤けいかくという作家さんの本です。
この作者さんはお若くしてすでに亡くなられているのですが、
根強い人気があります。
SFを基盤にした戦争への問いかけ、社会への問いかけは鋭く、出版されてから年数がたっても色あせず、私は読むたびに真正面から社会をみるだけではなく、視野を変えることで見えてくるものもあることにはっとします。
あらすじはネットにたくさんあるので記載しませんが、
問いかけられている幸福の定義ともいえるものについて、
今だからこそ考えさせるものがありました。

短い話ではないので、独特の表記やSFならではのカタカナの多さなど、読みにくい部分もありますが
70ページを超えてくるとぐっと加速してきます。

文庫の装丁もとてもきれいなので、読書の選択のひとつにいれていただけたらうれしいです。



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